冥冥乃志

ソフトウェア開発会社でチームマネージャをしているエンジニアの雑記。アウトプットは少なめです。

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仮説検証力を高めるためにSFを読もう

まあ、何か煽りたいわけでもないんですがね。なぜ自分がSFが好きなのか、自分の考え方に何か影響を与えているのか、というあたりを少し書き留めてみて、SF語りできる人が増えるといいなあ、と。

SFが私に与えた影響

前にどれかのエントリで書いた記憶があるのですが、私が好きなSFは「科学技術の進歩が人間の有り様に影響を与えざるをえない世界で、科学技術の文脈から人間の有り様を変えてしまうような仮説をシミュレーションする」タイプの作品です。これは、小松左京のSF観から影響を受けているというか、彼の作品の中でもその色が濃いものが特に好きだったからではないかと思います。

で、この「人間の有り様を変えてしまうような仮説」って完全にイノベーションじゃないですか。

  • 大きな嘘(仮説)がないと始まらない
  • 仮説に対する検証のアプローチは科学を使う
  • その結果の以前以後で別れるような人間の有り様の変化がある

テクノロジーが世の中を変える様子とそっくりです。やっぱりテクノロジーで世界を変えたいと思ってるエンジニアはSF読むべきなんですよ。彼らの嘘のつき方と検証の仕方を学ぶべきなんですよ(無理矢理)。

この基準に照らし合わせて好きなSF

で、この基準に照らし合わせて、今までの私の読書体験の中で大きな印象を残している作品を幾つか紹介したいと思います。SFにもいろいろあって好きな作品は他にもありますが。

果てしなき流れの果てに

この作品を手に取ったのは高校生くらいの時で、今までの小説というのは何だったんだ、と感じさせてくれる体験でした。衝撃度合いという点では、私の中での小松左京の最高傑作です。

歴史と時間に対する異議申し立てであるとか、人間が縛られている秩序とその先にあるものとか、時間と空間において人間の想像が到達しうる限界に挑戦しています。それでいて、物語の最終的な到達点が日常に近いところは非常に日本的だなあ、と感じるところではありますが。ちなみに、妻もこの作品が好きですが、最初と最後は蛇足だと感じたそうです。

果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

華竜の宮

どちらかと言うと続編の「真紅の碑文」は、仕事をするとはどういうことか?ってことにフォーカスが合ってたと思うんですね。それはそれで心が滾って好きなんですけど、人の在り方を地球規模で考えてそのビジョンを示す、という意味ではこっちの作品の方がより描けていたと思うんですよね。それから、科学と倫理の在り方についての問いかけと、人が選択しうるある一つの答えを丹念に描いているというのも素晴らしいです。

最後の終わり方が小松左京の「果てしなき流れの果てに」とか「虚無回廊」っぽいというか、人の先にあるものは何か?という物語につながっていく気がして、こっちも書いてくれると嬉しいな、と思います。

華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)

華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)

華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)

華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)

地球へ...

たまに本気で言うんですが、S.D体制って少子化対策にはいい気がするんですよね。人間が自分の能力を超えてしまった人工知能に対して、その種としてのいく先を預けてしまうのは選択支の一つとして出てくるでしょう。そういう社会が厳密であればあるほど、弾かれる人は出てくるわけで、この作品は弾かれた側がポストヒューマンであった場合に何を選択していくのか、ということを描いています。

その結果として提示される未来は、必ずしも合理的ではないのかもしれませんが少なくとも相互の理解と共存に期待の持てる内容であるとは思います。アニメもいいぜよ。

地球(テラ)へ… (1) (中公文庫―コミック版)

地球(テラ)へ… (1) (中公文庫―コミック版)

地球(テラ)へ… (2) (中公文庫―コミック版)

地球(テラ)へ… (2) (中公文庫―コミック版)

地球(テラ)へ… (3) (中公文庫―コミック版)

地球(テラ)へ… (3) (中公文庫―コミック版)

地球へ・・・Vol.1 【完全生産限定版】 [DVD]

地球へ・・・Vol.1 【完全生産限定版】 [DVD]

Beatless

連載された雑誌が雑誌だから、美少女バトル物みたいな空気をまとい過ぎていてもったいないんですが、これもいく先預けるという点では同じですね。主人公がの性格がクソほど嫌いなんですがね。。。自分はああいう選択はしないと思いますが、ポストヒューマン側が人間を同列に扱ってくれるのであれば、こういう未来もありかな、とは思います。

My Humanityのスピンオフ作品もいい感じです。

BEATLESS

BEATLESS

My Humanity

My Humanity

というわけで

SFを読もう。というか、SFを語ろう。

ここ1ヶ月くらいの雑多なメモ

主に仕事関連で、自分の中での体系化を待つ暇もなく仕事としてやらなきゃいかん状況なので、この辺りを手探りしてるよ、というのをメモってみます。それぞれトピックとして体系化してきたら、後で個別に掘る感じです。

サービス(プロダクト)のマネジメントとか

こういうのリリースしたんです。

MallNavi モールナビ

まだよちよち歩きのサービスではあるんですが、私がプロダクト全体をマネジメントした初めてのリリースです。これからユーザの皆様とプロダクトを成長させていきたいと思っています。

でまあ、やりたいことの100分の1もできていないし、やりたいことに向かうための最初の一歩をどうするかという点においては非常に難産だったわけです。正直な所、最初の一歩が決まってしまえば、サービスの要求作るのは楽でした。とはいえ、やるべきことを考えていると自分でコード書いてる余裕はないわけで、すますんがいなかったら半年リリースが遅れてたと想います。

だいたいやってることは以下の通りで、次の次くらいのリリースを見据えて関係者と話をする、というのがお仕事になってきています。

  • リリーステーマの決定
  • 要求をユーザストーリーマップに起こす
  • ステークホルダー、社内ユーザからの意見集約
  • コードレビュー
  • インフラ系の意思決定
  • 事業計画(マネタイズはどのポイントでどのくらい、とか)

ロードマップはハンドリングできてるから、健全な意思決定の偏らせ的な所は割と出来てる気がします。ステークホルダーへの説明が一番難しいですが。今は情報が行き渡る仕組みと、短いスパンでの説明で泥臭くやってる感じです。この辺りスマートにならないものか。

なかなかうまくいってるのは、ステークホルダーミーティングのリハーサルをすますんとやってることですかね。アジェンダを読み合わせて気になる所をチェックするレベルですが、内容をすり合わせた上でミーティングに望めるので、脱線や未決事項が少ないです。

開発のフローについて

ツールの中心は、GithubとWaffle.ioですね。

FeatureMapでユーザ体験の視点から要求を管理して、イテレーションの最初で見積もりしてからGithubからIssueにあげる、その進捗はWaffle.ioで可視化する、という感じです。

IssueやPRあげる時のタイミングだとかは週次のふりかえりで改善して行っています。今は、Issueはイテレーションの最初で見積もりしたらReadyにして、PRはやり始める最初に出してWaffle.io上でIn Progressになるようにしています。Issueとしての完了条件はコードレビューが終わったら。要求として完全に閉じるのはFeatureMapに記載している受け入れ条件を満たしたら、です。

IssueとFeatureMapがひも付けられないのが残念な所なんですよえ。まだこの辺のツールにあまりお金かけられないので、API使えればひも付けて色々とできる気はするんですが。。。

ツール、テック系

コードは書いてないけど、テック系のツールは使ってるよ、ということで。

ElasticBeanstalk使った

MallNaviはAWS ElasticBeanstalk + Dockerで環境構成して運用しています。デプロイとイメージ管理周りの構成は以下を参考にプライベートレジストリを作ってローカルマシンでイメージビルドしてからpushする具合。

aws.typepad.com

サービスとして投入するのは初めての組み合わせですし、運用開始したばかりなので、大した知見も溜まっていません。ただ、デプロイ周りは楽になったな、と見てて感じました。リリースで多少引っかかりはありましたが、ElasticBeanstalkがどうこうという話ではなかったですし。

ログをElasticsearchに吐いているのですが、このあたりの構成がちょっとスマートでないので、SpringBoot 1.4対応で変更しようかな、と話している所です。

kibanaとGoogle Analytics

今の所はより多くの利用者に使っていただくことが至上命題なわけです。そのためには現状を把握して、機能のロードマップとともに具体的な目標を立てなければなりません。

というわけで、追いかけるべき数字が少ない今のうちにkibanaとGoogle Analyticsの使い方を勉強中です。kibanaについては今後も使い続けるかは微妙な所で、ElasticsearchのSQLでのクエリに対応したらre:dashに乗り換える予定。

Neo4j

SpringBoot 1.4のリリースノート読んでたらNeo4jに対応とあったので、これからの機能展開も含めて採用を考えようかと思って検証中。もう少しまとまったら整理してエントリ書きます。とはいえ、ググって出て来るレベルのことしかないと思われるので期待は無用で。

まとめ

まあ、仕事がごちゃごちゃしてますねえ。自分の仕事はこれです!ってはっきり言えればいいんですが。。。プロダクトに責任のあるOSSANたちと新橋会したい。

2016年7月の読書メモ

なんかひたすら読んでた感がありますね。図書館を使うようになってからより増えた気がします。

今月の読書量

13冊ですか。そんなに読んでて暇なのか?というツッコミがきそうな量ですね。

A-A'

A-A’ (小学館文庫)

A-A’ (小学館文庫)

アレの名前大百科

アレの名前大百科

アレの名前大百科

思考の整理学

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

人間椅子

山賊ダイアリー 1巻

山賊ダイアリー(1) (イブニングコミックス)

山賊ダイアリー(1) (イブニングコミックス)

AIの遺電子 2巻

あげくの果てのカノン 1巻

イデアの作り方

アイデアのつくり方

アイデアのつくり方

人間仮免中

人間仮免中

人間仮免中

ユーザーインタフェース開発 失敗の本質

言ってはいけない

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

仕事は楽しいかね?

仕事は楽しいかね?

仕事は楽しいかね?

四畳半神話体系

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

今月のベスト本

今月は今年に入ってから特に良い本揃いで難しいのですが、今後への期待の大きさという面も含めて「あげくの果てのカノン」にします。どこに着地するかをドキドキしながら見守りたいと思います。

4月から生活習慣の変更したので経過を記録してみる

食生活だけだと体重も体脂肪率も落ちなくなってきたんですよ。目標は体重62kg、体脂肪率15%なのですが、65kg、18〜9%くらいで停滞してきました。食生活は基本糖質制限で続けています。

まあ、健康診断的にもそんなに言われるレベルではなくなってきたわけですが、目標の下方修正もカッコ悪いので、最後の追い込みのためにトレーニングを追加するための生活習慣の変更を行いました。

生活習慣の変更

  • 起床時間を5:00から4:30に
  • 起きたらすぐ1時間読書
  • 読書終わったら犬の世話して30分トレーニング
  • 就寝時間は21:30
  • 家に帰ったらしなければならないこと、はなくす
  • 風呂上がりにストレッチと5分瞑想

この感じで4/24から(妻が退院してから)3か月経過しました。

トレーニングはジムに通う時間もMPもないので、家でできるメニューをググって組み立てています。

  • ラジオ体操
  • ストレッチ
  • スクワット(ダンベル1kgを両手に)
  • 腕立て(kid式)
  • バックエクステンション
  • プランク

ただ、筋肉痛が来ないので、負荷的にはそんなに行ってないんだと思います。マッチョ化することが目的ではないので、数値の変化を見ながらもう少し様子見。ここ一ヶ月でやっと姿勢がちゃんとしてきた気がします。

定量変化

日付 体重 体脂肪率 筋肉量
4/24 65.55 kg 18.9 % 50.4 kg
7/23 64.25 kg 17.0 % 50.6 kg

筋肉量は5月くらいに一旦落ちているのですが、このところ戻っています。体重が落ちて筋肉量に変化がないので、都合よく脂肪だけ落ちてくれている感じですね。TANITAの体重計で出してくれる体内年齢が最新の計測で32歳になりました。こうなってくると、20代目指したいという無闇な欲が出てきます。

メリット

朝にやりたいことをなるべく詰め込んでいるので、帰ってから「何かをやらなければ」という気にもならないですし、撮りためた番組やプライムビデオをダラダラと見ていても罪悪感がありません。

また、読書を集中力が一番ある朝一に持ってきていることもあって、英語の本も以前よりもしっかり読めている気がします。

仕事についても、ノイズが少なくなった気がします。欲を言うと、在宅勤務で朝食後にすぐ仕事を始めて早く終われればもっと集中して無駄のない生活になりそうですが、現在は通勤時間が一番無為ですね。残念。

デメリット

普通に飲んで帰るだけで生活サイクルがイレギュラーになります。今は睡眠時間を削って、朝起きる時間は変更しない運用でうまく回っていますが、どうなんですかね。ぶっちゃけ、それ以外のデメリットは感じてないです。

岡山情報ビジネス学院で開発プロセスの講義をしてきました

会社への報告の下書きとして。

岡山情報ビジネス学院というのは、

www.oic-ok.ac.jp

こういうところです。

前職の同僚がここの教師をしてまして、学生に今の現場で行われている開発のことを話して欲しいとの個人的な依頼からスタートしました。ですが個人だと、

  • 休みを取らないといけない
  • 副収入になって面倒(今の所)

等々あって、弊社にとっても優秀な学生に対するアプローチができるに越したことはないので、採用活動の一環として会社の名前を出すことを条件に引き受けました。

講義のターゲット

上記専門学校の2年生です。

話を伺ったところ、学校の授業で開発実習のようなものはスタートして、JPAの試験についての勉強はしているということで、実感はわかないまでも基本的な知識は座学で得ている状態といっていいでしょう。また、コードに関しては実習でプロトタイプを作り始めたばかりということなので、ワークショップでそこを中心に据えてしまうと方向性がずれてしまいそうでした。

この情報を元に今回カリキュラムを組んでいます。

内容

開発プロセス(ウォータフォールとアジャイル)の基礎知識と体感をテーマにして、AM中は講義、PMでワークショップをする、という流れにしました。

AM中の講義については、一昨年にインターンを受け入れた時に使った資料がベースにできたので、それをブラッシュアップして望んでいます。私がいつも言っていることを整理して書いただけなので、スクリプトも特に必要なく。スライドが2時間半で40枚程度と少なかったので、巻いてしまうかと思ったのですが所々書いていないことを話し始めると逆に押し気味になってきた感じもします。

午後のワークショップはやっとむ(@yattom)さんのこれ。

d.hatena.ne.jp

これに、ウォータフォールでよくある工程の分離と責務の分離を混同してしまった不幸な現場の体感をしてもらうためのアレンジをしたワークを合わせてやっています。自分で設計した時に思っていた以上に情報の分断による不幸さが再現されてしまって、苦笑するやら。。。

所感

非常に得るものが大きかったです。

ワークの特性上、PO役の人がある程度ポーカーを知らないと適度な要求が出せないという事態が発生しました。これって現場でもPOがビジネスドメインにくわしくないと起こってしまうのかなあ、POも含めてチームなんだなあ、と実感しました。

それと、真面目そうな学生ほど、最初に提示されたルールからの思い込みが強く、改善が思い切れない傾向にあることもわかりました。「これやってみたらいいんじゃね?」と軽く言える人ほど、思い切った改善案を出してくるという印象。

ワークがシンプルだったおかげか、それぞれの開発の特性もよく体感してもらえたようで、最後にワークを振り返ってディスカッションをしてもらった際にも、気づきの内容が核心をついていたように思います。

今年はお試しという形でやってみたのですが、得るものも大きかったし、学生の様子をみることもできたので、来年はもっと採用に直接結びつけるような形でやってみたいと感じました。カリキュラムはもっとブラッシュアップしていけると思うので、条件を詰めていろんな学校でできないか、とか考えています。