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冥冥乃志

ソフトウェア開発会社でチームマネージャをしているエンジニアの雑記。アウトプットは少なめです。

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2016年上半期で印象に残った本

妻の入院とか人外ハンター業とか色々ハードルがあった割には数が読めたというのは評価していいかな、と思います。まあ、仕事の方向性を自覚的にするための読書を増やすために、意識的にコード書く時間を減らしているからこその読了数ではあるのですが。今まで低レベルながらも積み上げてきたプログラミングスキルを脇にやって *1 、新しい方向性に切り込んでいくので、むしろコード書いてる暇がないというか、その暇があったらプロダクトを良い方向に導いていくための勉強をしようというか、そんな不安駆動で読書に臨んでおります。

そんなバイアスがかかっているので、ノンフィクションはかなり仕事に寄ったものが印象に残っています。

ノンフィクション

「ない仕事」の作り方

「ない仕事」の作り方

「ない仕事」の作り方

好きを突き詰めて行ったら誰かに勝手に発見されて、というのが如何に都合のいい幻想であるか今更言うまでもないでしょう。そもそも「今までにない仕事」というのは誰も金になると思っていないわけですから、仕事にしたいのであれば自分が売り込んでいく必要があります。

これって別にクリエイティブの領域だけじゃないと思います。以前、rebeuildfmで「アメリカは職業の体型立てがうまくて、日本人は下手」という話が出ていました。確かにその通りで、例えばプロダクトマネージャとかアジャイルコーチとか、新しい仕事を作り出して、名前をつけて、スキルセットやマインドセットを体型付けて、って日本ではあまり起きない印象です。分不相応という言葉が好きというか。

で、そういうところが同じく上半期に読んだ「Inspired」や「ぼくらの仮説が未来をつくる」にも通じているように思うのです。今の自分の仕事に対する基準となりそうな本に早いうちに出会えたというのは、かなりついていると思います。

Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方

Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方

ぼくらの仮説が世界をつくる

ぼくらの仮説が世界をつくる

リーダー論

そこらの小規模プロジェクトを率いてきたプロマネやチームリーダーの言うことよりも、あれだけ大規模なビジネスチームのリーダーをしていた人の言うことの方が信用できますね。ということに尽きると思うんですよ、この本は。このチームでAKB48というプロダクトを世に出し、ビジネスとしてあげた成果に裏打ちされた自信というか、そういうものがひしひしと伝わってきます。

ビジネス書なんだかファンブックなんだかよく分からない売り方をされたにもかかわらず、あれだけ売れたというのは、割と届く人に届いてるのではないでしょうか?今、「これからチームリーダーになろうとしてるんだけど」という若手がいたら、私は「ピープルウェア」とこの本を読んでみることを勧めます。

ただ思うのは、優秀なリーダーになるには天性のスキルが必要なのかもしれない、ということ。自分を振り返ってみると、やはりリーダーというタイプではないな、と思うわけです。

7つの習慣

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

なんだかんだ言っても、人が集まって仕事に取り組み何かをなそうとするのであれば、人間力というのは必須スキルです。シチュエーションによっては技術力より人間としてどうよ?が先に来てチームにならないとか当たり前に発生するわけです。

その「人間力とは?」という問いには、いろんな答えをする人がいるわけですが、私は現在のところこの本に書かれていることを実践しているかどうか、で見ていいと思いました。我が身を省みると恥ずかしいことばかりですが、読んでいて少しだけ安心する(ちゃんと取り組もう)と思わせてくれるのは、筆者自身も実践できないケースがあって日々戦っているということ。読者も筆者も同じ道をいく仲間であると感じることができます。

なんかボードゲームあるみたいです。

7つの習慣 ボードゲーム ?成功の鍵?

7つの習慣 ボードゲーム ?成功の鍵?

フィクション

さよなら身体

さよなら身体

さよなら身体

だいたいにおいて、短く強烈な印象を残す作品というのは説明的でないことが多いのですが、この作品もご多分にもれず。マンガでもショートショートというのかどうかよくわかりませんが、あらすじの説明すら拒否する気全開です。1ページ1ページを味わいながら読んで、感じてください。

クロニスタ 戦争人類学者

「ニルヤの島」が、私の若かりし頃の形にできなかった創作活動に対する成仏を促してくれたこともあり、今勝手に注目している作家です。今作では、どちらかというと失われるものに対する哀れみだとか、同一性の暴力だとか、もっと荒っぽい制度の話に着目して描かれています。

で、この作品、帯のアオリからして「虐殺器官」からの影響があるっぽいのですよ。

今まで立ち読みする限り、伊藤計畫って好みじゃないんですよ。。。でも伊藤計畫のトリビュートは好きな作家が書いてるし、あれだけ以前と以後でわけられる人も珍しいので、すごい作家なんだろうな、とは思ってます。こんな感じなんだったら読んでみてもいいかな、と思った作品。とりあえず、円城塔と絡んでる「死者の帝国」から読んでみますかねえ。

AIの遺電子

オムニバスっていいですよね。読みやすいし。AIやアンドロイドが市民権を持つとどのように社会が変わるのか?人の心のありように変化はあるのか?という思考実験を含んだ作品。ブラックジャックのように読めます。

SFが扱うのはテクノロジーそのものじゃないと思うんです。というかテクノロジーという意味では絶対に嘘になるわけだし。テクノロジーに対して仮説を定義し、その仮説が変えてしまう未来をシミュレーションしてみる、というのが私の好きなSFです。人間がテクノロジーで発展している以上、社会や人間のありようからもはや切り離せないものですからね。

バイナリ畑でつかまえて」は連載中から結構好きで、テクノロジーと人との間にあるものを描くのがすごく上手いなあ、と思っていたので、このテイストの作品でさらに追求してくれて良かったです。

AIの遺電子 2 (少年チャンピオン・コミックス)

AIの遺電子 2 (少年チャンピオン・コミックス)

バイナリ畑でつかまえて

バイナリ畑でつかまえて

今週のお題「わたしの本棚」

*1:全く役に立たなくなるわけではないですが