長いタイムスパンのためのふりかえりをしてみた
どうも、「ふりかえり」はすべてひらがな派です。
色々といいタイミングだったので、ちょっと長いタイムスパンのためのふりかえりをしてみました。いつものKPTとは違うことを試してみたのでまとめてみます。
半期のふりかえり
当社は9月が期のスタートなので、今月は年度末になります。つまり、この8月で私が今のチームのマネージャになってから1年経つということになります。制度的にも評価や次期の目標などタイミングが良かったため、半期という長目の期間のふりかえりと次期のチーム目標の共有と計画を立ててみることにしました。半日使って。
定期的に *1 KPTによるふりかえりはしていますが、KPTは直近のイテレーションに対して改善を積み重ねるフレームワークであるため、全体像が見えにくくなります。今までの1年で積み重ねてきたことと、これから先1年でチームをどうしていきたいのか、大きな視野を持って俯瞰してみることが必要だと思い、今回のふりかえりにはKPTを使いませんでした。
ふりかえりのアジェンダ
- タイムライン
- チームレーダー
- YWT
- 次期の目標共有と四半期の計画
ふりかえりの元ネタは主に「アジャイルレトロスペクティブ」です。
アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き
- 作者: Esther Derby,Diana Larsen,角征典
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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YWTをメインでやりたかったので、タイムラインとチームレーダーに関してはYWTで議論を活発にするための手段として使っています。そのため、「アジャイルレトロスペクティブ」に書かれているよりは省略しています。
タイムライン
期間を時系列でふりかえって、イベントをおさらいしました。まず何があったか思い出さないまま、いきなり「半期分のふりかえりしまーす」と言っても議論にすらならないですからね。イベントとそれに伴う感情等々思い出してもらうために実施しました。
「アジャイルレトロスペクティブ」では、個人のイベントについてもふりかえるようなアクティビティになっていますが、上記の通りYWTにつなげるためのウォーミングアップの側面が強いことと、30分を目安にしていたので、チームのイベントをおさらいするのみにしました。
チームレーダー
だいたい何があったか共通の記憶が出来上がってきた所で、この半期でもKPTやその他の取り組みを通じてやってきたことの結果を可視化してみます。以下の4つの軸に対して、チームがどれだけできているか、ということを10点満点でスコア付けしてレーダーチャートにします。
- 技術力
- コミュニケーション
- ポジティブさ
- プロセス習熟度
それぞれの軸に対して明確な定義をもうけている訳ではなく、その言葉でイメージされるチームの状態について主観で良いのでスコア付けします。もちろん、全員のスコアが一致するわけはないので、そこは軽く議論をしてお互いがある程度納得のいくスコアを探ります。
スコアの妥当性が大事なわけではなくて、その軸に対して持っている理想とどれだけ離れてるかと、チームのバランス的に何が足りないのかということに対して可視化を通じて自覚的になることが目的です。
YWT
タイムラインとチームレーダーでこの一年のイベントと結果についてチームの自己評価が終わった所で、次の1年に向けて経験を整理するふりかえりとしてYWTを実施します。YWTはKPTと同じく、議論の観点の頭文字を取ったフレームワークです。
- Y:やったこと
- W:わかったこと
- T:つぎにやること
日本語ですね。
普段やっているKPTとの違いを通じて目的を説明したいと思います。KPTは改善の結果、経過と現在位置について把握し、チームを実際に駆動するためのフレームワークです。それに対して、YWTは現在までの経験と得られた知識から、次の期間でチームをどう持っていきたいかというゴールを決めるフレームワークとして機能します。ここで決めたゴールに対してそれぞれが具体的な目標に落とし込んで、達成するために何を実施するか、実施の結果と経過はどうか、ということをこれからまた一年間KPTで駆動します。
所感
今年に入ってから理想のチームについて話し合いました。そのときに目指すチームについてチーム内にあるイメージができていったのですが、理想を持っただけで勝手に近づくわけではありません。その理想に対してアクションが促されなければならない訳です。マネージャはそのためにいます(私見)。
そのときに出た今のチームの理想の姿を実現するためには、自分の仕事がチーム、ひいては会社をどういう風に駆動していくか知ること、何を持ってチームに貢献するかという得意分野を持つことについて、もっとメンバーで意識した方が良いと思って、チームの次のマイルストーンを自分たちで考えるという経験が必要かな、と思ってこの取り組みをしました。チームは勝手に変わらない、自分でアイデアを出すものだ、と思ってくれれば成功かな、と。全員が考える土台を持って、オープンに仕事をする、というのは理想ですね。
というわけで、決してマネージャが楽をするため、ではないはず(ないとは言わないけど)。メンバーがそれぞれチームのために考えたことを信頼した上で判断をすれば、マネージャの意思決定の精度は上がるはずで、その熟練度に応じてマネージャの役割は変わるはずなので。
実は初めてやってみたアクティビティなんですけど、やって良かったですね。半期に一度、継続してみようかと思います。
おまけ
ふりかえりの最後に「あべさんがこの一年チーム見てきてどうですか?」と聴かれて、結構エモく語ってしまいました。嘘くさくなってなければ良いけど。この一年はすごくチーム状態が改善したと思ってるので、言葉を選んでるつもりはなくて率直にそのことを伝えたつもりです。それから、次のステップに行くためにここはもう少し意識を向けてくれると嬉しいな、というところ。酒が入ってないので照れくさかったです。
*1:今は定例レビューをしているので隔週