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冥冥乃志

ソフトウェア開発会社でチームマネージャをしているエンジニアの雑記。アウトプットは少なめです。

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PKD作品は英語を読む練習教材として良いのではないかと感じた件

今年は、囲碁ととともに英語力を少しでもアップさせることもテーマにしておりまして、その一環としてPodcastを聴いたり、英語の本を読んだりしております。で、「人を動かす」とか「武士道」とかを手始めに原文で読んでみたのですが、技術情報を英語で読むのとはまた別の意味で辛い。思想・文化系はそもそも前提を共有していない読者を対象に書くものなので、どうしても表現が遠回りにならざるを得なかったりします。

このままでは挫折してしまいそうだったので、ちょっと簡単なものを読もうと思って選んだのが「Alice’s Adventure in Wonderland」です。児童文学なのでさらさら読めて少しばかり自信も回復しました。

次のステップとして、もうちょっと最近の英語で、かつ大人向けの作品を読もうとして選んだのがPKDです。

PKDとは

Phillip K Dick(フィリップ・K・ディック)の略で、アメリカの著名なSF作家です。

フィリップ・K・ディック - Wikipedia

有名な作品としては「ブレードランナー(原題:アンドロイドは電気羊の夢を見るか)」や「トータルリコール(原題:追憶売ります)」などですね。その他にも「マイノリティリポート」や「スクリーム」の原作など、映画化、映像化された作品が多い作家です。

なぜPKDなのか

実は、翻訳の文体が苦手で海外SFをあまり読まないので、今までPKDの作品は読んだことがありませんでした。リーディングの練習が主とはいえ、小説を読むこともあわせて楽しみたいので、SFで未読の作家でかつ読みやすいという評価がある作家を探していったらPKDにたどり着いたという感じです。

教材

13 Short Stories by Philip K. Dick (Illustrated) (English Edition)

13 Short Stories by Philip K. Dick (Illustrated) (English Edition)

短編集です。どういう基準で選ばれている作品集なのか知りませんが、安かったので。

読みやすいと感じた理由

まだ全ての作品を読んだわけではありませんが、読んだ作品は全て非常に読みやすいです。その理由について少し整理してみたいと思います。

まず、文体が星新一ばりにストイックです。あまり修飾をするタイプではないのか、形容詞も少なく非常に短いセンテンスで書かれています。また、長くなりそうな表現は積極的に文章を分割して書く傾向があります。そのため、何を表現しているのかがわかりやすい。まだ英語を英語として読んでいる訳ではなく、頭の中である程度翻訳して読んでいるため、短いセンテンスで表現してくれるのはわかりやすいですね。とはいえ、作風までが星新一ばりにストイックな訳ではないので、多少古びてるな、と感じる場面はあります*1

造語が少ないこともわかりやすさの一つです。未来を扱う作品が多いので、ガジェットなどは割と説明無しに造語が出てくるのですが、その他にはほとんど造語が出ないし、作品の中核に関わることについてはなるべく一般名詞で表現されています。ぶっちゃけ造語がわからなくても読める作品構成になっているのは助かります。造語は辞書引いても出てこないし。

簡単な文章ですが、中身が子供だましではありません。割とテーマとしては押井守に近かったりするのかな?人間のアイデンティティがテーマだったり、作中作を使ったような複雑な構成を持つ作品などがあったりして、小説としても非常に読み応えがあるのも、読みやすさ(読みたいと思わせる意味で)なのかも知れません。非常に楽しめて読んでます。先も楽しみです。

他のSF作家の本も原文で読んでみたくなった

とりあえず、ハインラインの「夏への扉」をゲットしています。これを読み終わったらアシモフでも読んでみましょうかね。

The Door into Summer (English Edition)

The Door into Summer (English Edition)

*1:星新一は、作品から時代風俗をできる限り排除したストイックな作風を持っています。そのために継続的に作品を修正していました。彼の作品が世界各国で読まれているのはそういうストイックな作風によるところが大きいと思います。