冥冥乃志

ソフトウェア開発会社でチームマネージャをしているエンジニアの雑記。アウトプットは少なめです。

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「システム×デザイン思考 ワークショップ」に参加してきました

三輪さんがひっそりとSTLUGのメーリングリストに流してくれたのをあざとく拾い上げたのでこんなのに参加してきました。

平成27年度 IoT時代を担う企業間共創事業 トライアル講座 システム×デザイン思考 ワークショップ ~「イノベーティブに考える」を体験しよう!~岡山開催 | 中国経済産業局ウェブサイト

経産省主催ってことでコミュニティの方々の除外フィルタに引っかかってしまったのでしょうか?あんまりこっち側の人々には反応なかったですね。ゆかりん姐さんとI社さんが参加してたのは、やっぱりね、という感じもしましたが。お硬いイメージを全力で覆してくれるいいイベントだったのでまとめてみたいと思います。

イベントの目的

組織の多様性を取り入れながらイノベーションを意図的に生み出すために、思考を手助けするツールとしてシステム思考とデザイン思考を組み合わせていく手法を学ぼう、というのが趣旨です。

また、イノベーションの価値を高めるには、同じ組織やチーム人間が持っているバイアスが邪魔になります。イノベーションを起こす組織には多様性が必要で、広く専門性を持っておく必要があるのですが、バラバラにアイディアを出していってもイノベーションにはなりません。多様なコンテキストを新たなアイディアに結びつけるためには自由に意見を広げるだけではまとまりがなく、どこかでイノベーションのための構造を持つ必要があります。

イノベーションは単なる思いつきではなく、その後のプロセスによって創られるということを体感するためのワークショップだと言っていいかと思います。

イノベーションの定義

序盤の講義ではイノベーションを以下のように定義しています。

イノベーション機会を新しいアイディアへと転換し、
さらにそれらが広く実用に供せられるようにする過程

また、アイディアだけで成立するものではなく、技術革新が必ずしも必須ではないということを、「Help, I want to save a life」と「Fun theory」という二つの事例を通して示していただきました。

システム思考とデザイン思考

イノベーションを起こすための思考を手助けするツールとして、システム思考とデザイン思考を組み合わせて使います。

システム思考

物事を俯瞰と構成要素のルールなどを意識して、思考を構造化するための思考です。以下のような観点で対象を捉えます。

  • 可視化
  • 多視点
  • 構造化

デザイン思考

以下のようなマインドセットで物事を捉えることです。

  • 人間中心
  • 多様性と協力
  • 楽観的
  • 経験的(Fail First)

発散と収束を繰り返す

この二つの思考法を単独で使うのではなく、アイディアを発散収束させるために繰り返して使うことでイノベーションを起こすというのが、本講義での肝です。アイディアの発散にデザイン思考を使い、出てきたアイディアから切り口を選択して、アーキテクチャ、構造を整理するためにシステム思考を使うというアプローチです。それらの構造の中で見つかったアコモデーション(共通理解)とインサイト(気づき)をもとに、新たな発想を発散する方向でアイディアを成長させイノベーションになりうるものを作り上げていくプロセスです。

ワークショップ

お題は「思わず触りたくなってくるロボット」を考えるというもので、以下のプロセスを体験しました。

  1. ブレスト
  2. 親和図法(KJ法)
  3. 強制連想法(マトリックス法)

ワークショップの中で、特に重要だと感じたことをメモしておきたいと思います。

ブレストのグラウンドルールを使いこなす

「人の意見を否定しない」とか「乗っかるとか」「質より量とか」色々とブレストを正しく行うためのグラウンドルールがありますが、これって頭でわかっててもやってみないと身につかないんですよね。こういうのってマインドなので何度もやってみて体で覚えるしかないわけです。ブレストは経験だな、と実感しました。

グルーピングはチームの色を出す

親和図法で出てくるグルーピングのラベルは、アコモデーションインサイトになります。このラベルの客観性があまりにも高いとその後の強制連想法で促される発想がごくごく平凡なものになってしまいます。私たちが起こしたいものはイノベーションです。今までにないアイディアを出すためには、この段階のラベリングはむしろ主観的に行ってチームの色を出していくことで、アイディアが独自性を持ち始めます。

グルーピングを通じて、チーム内の多様性を活かしながら積極的にチーム特有の知識を洗練させる方がいい結果になります。多様性により可能性のレンジが広がります。チームの方言というべき組み合わせにこそイノベーションの可能性がある、ということです。

連想は枠で強制されると活発になることがある

さあアイディアを出しましょう、といったところで発想が迷子になること請け合いです。自由で選択肢が多すぎても人は選べないし考えられないわけです。適度に考えの前提をかけるために、抽象度の高いものと低いものの掛け合わせたマトリクスで発想するのがうまくいくコツであることを実感しました。

感想

プロダクトマネージャになろう、と思ってから絶妙なタイミングでのイベントで、非常に得るものが大きかったです。もう、かなりの意識の高まりを感じております。というかプロダクトマネジメントに活かすとか関係なく、こういうの大好物です。

ただこういうの、ツールの利用やプロセスの進行に気を取られているうちはアイディアがあまり育たない気がしてます。慣れや洗練というのがアイディアの質に無視できない影響があるのではないかと思います。

内容的にこっち側の人にもかなり有益だったんじゃないかと思います。もっとコミュニティの人達くればよかったのに。それにしてもスーツコス多すぎですね、イノベーションってテーマなんだからもっと自由に参加しても良かったんじゃない?とは思いました。

ちなみに、SDMに俄然興味が湧いてきていますが、入学のめどは今の所ありません。

改善要望

アンケートでも書こうと思ってることなんですがね。。。メールかFAXで申し込みをするのはいいけど、メールの場合に受付ノーレスというのはいかがなものかと。予定をやりくりして参加するわけですから、受付済みかどうかは事前にリマインドすべきではないかな、と思いました。Doorkeeperとか使えばいいと思います。お願いしますよ、本当に。