冥冥乃志

ソフトウェア開発会社でチームマネージャをしているエンジニアの雑記。アウトプットは少なめです。

follow us in feedly

「正解するカド」を希望的妄想で解釈してみる(したいという9話、10話の感想)

9話ラストと10話での超展開、それら視聴後における阿鼻叫喚の感想の嵐と、今まで丁寧に「ちゃんとしたSF」を積み上げてきた感の本作への失望をあらわにする人が増えています。私はプライムビデオで視聴しているので、大抵いくつかの感想がTwitterで目に入ってから見ることになります。そのため、10話の視聴前はかなり不安でした。「これでダメでも残り2話だし、一緒に沈むか?」とか考えていたほど。にも関わらず、見終わった後に思ったことは「これ、まだ大丈夫じゃない?」でした。

で、何で悲観的にならなかったのか、というのが少し整理できたので、「こういう展開への希望を残しておいてほしいな」という希望的妄想を持ってこの2話の感想に変えたいと思います。

9話、10話で何が起こったか

異方少女マジカル沙羅花爆誕。

沙羅花さんは実は異方存在でした。来週からは異世界バトルアニメ「正解するカド」をお楽しみください。とでも言いたげな超展開。そりゃまあ、今までの物語の積み重ね方からしたら「はあ?」ですよ。

しかも沙羅花さんが人類の進歩に作為はいらないという自然派。その理由が「この宇宙のファンだから」とあってもっかい「はあ?」ですよ。ちょっと待って、展開急すぎるのもあるけど、理由とか諸々直球すぎて今までの積み重ねは何だったの?という世界。

10話で3次元に降りてきた異方存在は沙羅花さん一人ではないようなので、これに関する回収があるかどうかは気になるところですが。個人的には品輪博士が名前の語感的に怪しい。ところで「ユノクル」って何ですかね?

真道の交渉はこれからが本番ではないか?という仮説

と、まあ、初見は疑問符がいっぱいあった9話と10話なのですが、それでも見るのをやめるほどには至らなかったわけです。ぼんやりとまだ期待ができる、と思っていたということなんですが、それが10話視聴から1日寝かせてようやくはっきりしてきました。

視点の整理

異方の人類の宇宙への関わり方において、少なくとも二つの視点があることが明らかにされました。

一つは、ザシュニナが寄って立つところで、もっと情報の糸出すようにしてほしいから作為を加えようという視点。これってつまりブロイラーの発想ですよね。人間が家畜や農作物に対して遺伝子操作をする、介入をすることと本質的に変わりありません。その結果、真道がチキンジョージになりそうなので、異方につれて帰ろうとしています。もしかしたらチキンジョージというよりはあれかな、真・女神転生4の赤玉的なアレ。

一方沙羅花さんは、作為はいらない、人類かわいいよ人類という視点。これって一見聞こえばいいんですが、よくよく考えたら、家畜だと思ってたら案外可愛くて、情が移って名前つけたら屠殺できなくなった感覚じゃないかな?とか思ってしまうわけです。ある種の傲慢さを感じさせる視点でもあります。

で、どちらにも共通しているのは、「異方から人類に対してこうあってほしいという希望」であって、「人類が何を選ぶか」というということではないんですよね。ってかメガテンかよ、という感じの両極端さです。現時点では、人類に示された異方からの提案であって、まだ何も選んでいないという状況です。

人類が選択する上で必要な交渉が残っている

で、ここまで整理してようやく、もしかしたら真道が交渉官であるという設定をここから生かすつもりなのかも、と思い至りました。

人類にしてみたら、たとえ作為があろうとも人類を前に進めるという選択はあって良いはずです。まず、ザシュニナと人類という軸はある意味交渉になりません。チキンジョージ計画はともかくとして、発展という点においては利害は最初から一致しているわけですから。じゃあ、人類側の代表に選ばれた日本と世界という軸で考えたとしても、日本と世界の確執を描くはずで、さすがに今までの積み重ね方からしてあまりにも主眼が違いすぎる。ということは、もたらされる二つの両極端な提案から、提案者の利益に配慮しつつ人類が発展の利益最大化する落とし所を見つける交渉をする、というのが今後の真道の役回りになるのではないかと。

0話で示されている通り、彼は請求に交渉の場をセッティングすることはしないタイプです。ということは、今まで彼が異方側にいたのは、0話で視察をしていたことと同じではないのか?その上で、今度は人類の側としてテーブルにつくつもりではないのか?という妄想ができるわけですよ。

もし、そうなれば、ロールートでもカオスルートでもないニュートラルルートの選択を人類がしていくための交渉ということで、ストーリー的にもまだまだ面白いポイントは残ってるんじゃないか、というのを感じますね。

で、ザシュニナさん、とりあえず別ブランチの真道をつれ回るようになりましたね。ということは、もしかして人類の視点から別々の立場で交渉の場に臨む真道vs真道の可能性も?

とりあえず

沈もうが沈むまいが、最後まで乗船しててもいい作品ではないのかな、というのが今の私の感想です。 まあ、提示された作為によって何が変わるのかという描写が軽いという意見もありますが、それは良いんじゃないですかね。大抵それはさらっと地の文で流すことの方が多いですし。(それは個人的な変革体験がある特定の時間帯にまとめて発生したということでしか