冥冥乃志

ソフトウェア開発会社でチームマネージャをしているエンジニアの雑記。アウトプットは少なめです。

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マネージャと雑用の理想的なつきあい方(俺的)

えーのさんのエントリにインスパイアされました *1 。えーのさんのエントリのおかげで理想のマネージャ像の輪郭がよりはっきりした気がします。

blog.a-know.me

あー、ちなみにね、「マネジメントとかチームビルディングとか、技術だけで承認欲求を満たせないんだろ?」というのは合ってますよ。はいはいそれが?って感じですが。

チームで仕事をする限り雑用は出る

私が雑用をどういうものとして捉えているかは、上記のエントリでえーのさんがベン図にして表してくれているのとあまり変わらないのでそちらをお読みください。

雑用ってチームで仕事をしている限り絶対に出てくるんですよね。この重ならない部分にあたる雑用は、各メンバーにとって「明確にアサインされていない仕事」と「できればやりたくねーと思ってる仕事」と「自分から見えていない仕事」の集合です。

で、この雑用へのアプローチは以下のいずれか。

  1. 外部に委託する(サービス、人、自動化)
  2. やらないようにする(主に交渉)
  3. 誰かがやる
  4. なかったことにする

どれもなにがしかの形でコストがかかります。特に4のコストは後払いにした分利子が乗っかってくるので危険です。コストを見極めながら、どのアプローチを取るか判断する必要があります。

「やらせる」ことが仕事ではない

「マネージャがプレイヤーになるべきではない」とか「マネージャが雑用すべきではない」とよく聴きますが、かといって「人にやらせること」がマネージャの仕事ではないですよね。チームのゴールに対して計画を立て、計測可能なものについては計測し、ずれを確認して必要な対策を打つといった仕事をするにあたって必要なプロセスをチーム全体でうまく機能するようにすることがマネージャの仕事だと私は考えています。

で、これらの対策の中にはどうしてもチームの代表として利害関係の中で話をしなければならないケースがあります。その仕事を円滑に進めるためにマネージャには権限がセットになっているだけであって、マネージャだから権限がある訳ではないです。必要なことは「対策を打つこと」なので、誰がやってもかまいません。そのときにマネージャがやるのが良いと思えばやっても良いと思いますよ。プロセスを機能させる本業さえおろそかにならなければ。

私は、マネージャが雑用できなかったりプレイヤーになれないと、対策の妥当性について見当違いをしてしまう可能性が上がると思っています。メンバーと相談しながら進めるとはいえ、対策をするかしないかの判断はマネージャがしないといけないことがほとんどですから、やると決めたことに対して自信を持って判断するためにも、「雑用ができる」「プレイヤーになれる」というベースのスキルは必要かと *2

理想は「プロ無職」みたいなマネージャ

ここからは本業をふまえた上で少し理想の話を。私ができていることではないのでお間違えなく。

会社的、役職的な責任の部分 *3 はちょっと脇においておくとして、私のマネージャとしての理想のあり方がいくつかあります。だいたい雑用することなんですけど、拾う雑用の種類というか。三つの視点で雑用を拾って、チームに貢献することができると良いなあ、という感じです。この辺りを短く説明する言葉がないので、適当に「プロ無職」という言い方をしてみます。

プロジェクトの落ち穂拾い

正真正銘の「雑用」。面倒だけど自動化までコストかけられないようなことをなるべく拾って片付けることですね。メンバーに一番価値の高い仕事をしてもらうための時間を少しでも増やすためにこのタイプの雑用は、できる限りメンバーが担当しなくても良い状態を作りたいです。

文化英雄とトリックスター

文化英雄とトリックスターについては以下を参考にしてください。

文化英雄 - Wikipedia

トリックスター - Wikipedia

「今は必要ないことなんだけど、いずれ判断を迫られる」タイプの雑用。将来的に自分たちの仕事を大きく変える可能性のある(ポジティブにもネガティブにも)ことに対して検証したり、調査したり、裏を取ったりするタイプの雑用です。これはマネージャだけがする必要はありませんが、マネージャがこのタイプの雑用に関わるのは必須だと考えています。

スポークスマン

「チームの意見を社内外に主張する」タイプの雑用。過剰に負荷をかけないために他部署に事情を理解してもらうとか、こういう取り組みをしていて便利だから一緒にやりませんか?とか。社外の勉強会とかで発信することは含まれていません(それは雑用というより趣味だし)。だいたいチーム外が相手になってくるので、「発信する人がその看板を背負っているか」が相手にとって重要なケースが増えて、マネージャが担当した方が面倒が少ない雑用でもあります。

まあ、こういう雑用の場でチームの成果だったり取り組みだったりを正しく評価してもらえば、信頼が積み上がっていくわけです。チームに対する鶏からのよけいな干渉を防ぐためにも、スポークスマン的な雑用は必要かな、と。

ところであんまり関係ないけど

わかる人だけで。私が、マネージャとしてロールモデルにしているのはパトレイバー後藤隊長だったりします。内海課長も好きだけど基本的に自分のタイプじゃないんですよね。企画7課は「内海課長のやりたいこと」を中心にまとまってるチームで、マネージャとビジョンが一体化しています。私にはそこまでのビジョンがありません。

まとめ

ま、雑用したらいけない理由はないんだぜ、ということで良い雑用をしましょう。

*1:正確に言うと、元になっているエントリを読んでて、同じテーマで書こうと思って二番煎じになっただけ

*2:チーム内でトップである必要はない

*3:承認とか人事評価とかそういうやつ