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冥冥乃志

ソフトウェア開発会社でチームマネージャをしているエンジニアの雑記。アウトプットは少なめです。

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拡張する空間

拡張する空間 建築家とITアーキテクトがつくるもの

拡張する空間 建築家とITアーキテクトがつくるもの

ドラッカーと言い、本書と言い、直接ソフトウェア開発とは関係のない本が続きました。
デザインパターンを勉強した影響で、建築思想的な部分への興味が湧いています。とは言え、建築そのものは門外漢なので敷居が高い、自分のフィールドと絡めて読めそうな本書から入るのが良さそうだと思ったわけです。丁度建築に興味を持った頃合いに本書が発売されるあたり、巡り合わせの良さを感じざるを得ません。

構成

鈴木氏と藤本氏の対談とそれぞれのコラムによって構成されています。
まず、対談としてのテーマは以下のとおりです。

  1. 「つくる」という循環
  2. オブジェクト指向──空間の言語
  3. 万里の長城──把握できない全体性

コラムは以下のとおりです。

  1. ソフトウェア開発とは何か(鈴木氏)
  2. 空間という恐怖(藤本氏)
  3. ソフトウェアの気配(鈴木氏)

ITアーキテクトとは何者か?

アーキテクトとは「建築家」という意味です。藤本氏によるとこの言葉は建築家の中でも定義が割れているとのことです。この辺は、本書の中で建築家とのITアーキテクトの定義とも近いといえるかと思います。ITアーキテクトの場合は、言葉としての歴史の浅さが定義のぶれにつながっている気はしますが。本書の中で鈴木氏は、ITアーキテクトを「使う人とつくる人をつなぐ人」という定義をしています。
IT業界は、産業としての歴史が浅い分、言葉が安定していないと感じています。私も社会に出てたかだか8年ですが、この間でさえ「クラウド」をはじめとする様々な言葉が乱れ飛んでいると言った感じです。エンジニアでさえそう思うのですから、非エンジニアの方はなおさらでしょう。IT業界がイマイチ信用され切っていないのはこの辺りにも原因があるのかもしれません。
ITアーキテクトを含め、これらの言葉を「バズワード」と切り捨ててしまうことは簡単です。しかし、先ほども書いた通りIT業界は歴史が浅いのです。それだけの局面を経ていないと考えれば、その言葉が必要とされた背景を、今業界が置かれているコンテキストから読み取って、正しい定義を考えていく必要があるのではないでしょうか?

個人的に見据えているもの

10代から20代前半の間で、SF小説をひたすら読んでいた時期がありました。科学を言葉を使って、文学という文脈の中で人類にとってどういう意味を持つのかを追求する姿勢が好きです。その中で、科学のいろいろな分野をつなぐ言葉としてSFが機能するのではないか、ということを思ったりもしました。また、そういうことを考えているとワクワクする質なのです。
私は、ITアーキテクトという言葉の鈴木氏の定義がその立ち位置に似ていると思います。そして、それこそが私の目指しているポジションです。
私が思っているITアーキテクト像は、「顧客に対しては使われる技術と実現方法を示し、プログラマに対しては技術が使われる目的を示し、プロジェクトマネージャに対しては品質示す」人です。そのために、技術の全体像とプロセスに責任を持つというのが、ITアーキテクトの役割だと思っています。

ITアーキテクト(エンジニア)の仕事を非エンジニアに説明できますか?

私は自信がありません(苦笑)。
一番の壁は言葉ですね。コンピュータに関する言葉も多少は一般化してきたものの、やはり通じにくい言葉というのが多数あります。仕事上、コンピュータに関する知識が少ない(使うのには十分なレベル)方が顧客となる場合もありますので、自分でも気をつけているつもりですが、ちょっと気を抜くと使い慣れた言葉を使って話してしまいます。そういう局面になってくると、お互いストレスになります。
これを打開するためには、やはり専門知識を素人に説明する言葉を持つ、と言うのが専門家として責任ある立場だと思います。その点、鈴木氏のコラムはソフトウェアとソフトウェアの構造というのがどういうものか、を基本から説明していると思います。この言葉の使い方は参考にしていきたいです。

最後に

子供の頃なりたかったものは、ゲームを作る人でした。だからかどうか分かりませんが、時折考えることがあります。
システムでワクワク・・・できますか?
「エンジニアが」ではありません、「顧客が」です。
私は、企業の基幹システムを作るエンジニアなので、基本的にビジネスライクな話であり、システムも真面目というかビジネスのためのものです。当然、システムその物に楽しみやエンタテイメントな部分はありません。ですが、自分が作ったモノでワクワクしてほしいという感覚はあります。
建築だとアートの側面からの鑑賞ポイントがありますが、システムには残念ながらそういったポイントはありません(あるとしても、我々エンジニアからの鑑賞ポイントでしょう)。
ほんとに無理なのでしょうか?
アートな側面からのワクワクはないかもしれませんが、「仕事が楽になる」「新たな創造性が刺激された」などワクワクさせ方があるかもしれません。できればそういうものを作っていきたいですね。