冥冥乃志

ソフトウェア開発会社でチームマネージャをしているエンジニアの雑記。アウトプットは少なめです。

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ワンランク上の問題解決の技術[実践編]

ご多聞に漏れず「情熱大陸」で横田氏が紹介されてからの読者です。そもそも、バリューエンジニアリングもファンクショナルアプローチもこの番組で初めて耳にしたくらいです。
チームで公共事業カイゼンを行っている様子に感銘を受けて、読んでみる事にしました。

構成

  1. ワンランク上の問題解決とは
  2. ファンクショナル・アプローチ ステップ1 準備
  3. ファンクショナル・アプローチ ステップ2 分解
  4. ファンクショナル・アプローチ ステップ3 創造
  5. ファンクショナル・アプローチ ステップ4 洗練
  6. 日常をファンクショナル・アプローチで考える
  7. 目標に向かって、取るべき進路を見つけよう

「実践編」と銘打つだけあって、ファンクショナルアプローチに取り組むためのプロセスや勘所を詳細に解説しています。巻末には本書の中で利用したツール類のテンプレートがあるので、スプレッドシートなどで同じフォーマットを作成すれば、すぐに同じプロセスを踏んでファンクショナルアプローチに取り組むことができるようになっています。

「何のため?」「誰のため?」という質問

ファンクショナルアプローチの根幹です。ファンクショナル・アプローチに限った話ではなく、常に意識しなければならない事であると思います。
業務改善分野での取組みであれば原点を再度確認するために、設計分野で使うのであれば顧客価値を見つけるためにその質問を投げかけます。常にこれらの質問を意識して、考える事が出来るようになる事がファンクショナルアプローチの目的です。
とは言え、我々の仕事の中でそのまま取り入れて行くのは難しいですね。
ファンクショナルアプローチの得意分野は、本書でも触れられている問題解決、つまり業務改善分野です。ソフトウェア開発プロセスを考えると、設計以降の工程は「課題を探す」ことよりも「課題解決」が主たる作業となっていきます。この質問を意識し続ける事は、達成すべきユーザのビジネス価値から離れないようにするために重要な事ですが、その解決作業にファンクショナルアプローチはそぐわない気がしています。他の手法も確立していますし。

その通りにやらないといけないのか?

必ずしもそうではないと思います。というのも、エンジニアであればどんな分野であれ課題解決法を持っている(またはデファクトスタンダードな手法がある)と思われるからです。それが十分な効果をあげている限りは無理にやり方を帰る必要はないと思います。
本書を読んで、ファンクショナルアプローチの重要なポイントは「課題の構造を見える化する」ことにあると思いました。「見える化」は様々な場面で実績がある手法があります。どれか一つでも会得している手法があるのであれば、それを利用して行けば良いと思うのです。その切り口として「誰のため?」「何のため?」を常に意識し続ける事の方が大事なのだと思います。

最後に

非常に感銘を受けた言葉があるので、紹介させていただきます。

この世で最も残念な言葉は、「やってみたらできたかもしれない」である。

多分に自戒を込めますが、やってみる前からダメな結果をある程度予測してやめてしまう事があります。それが後で出来ると知ったときの後悔というのは一度や二度ではありません。
この手の後悔は非常に嫌な残り方をします。まずはトライアンドエラーを実践してみようと思います。